Joy to the world

とある中小企業のしがない技術者でクリスチャンな人が書く日記。実はメビウス症候群当事者だったり、統合失調症のパートナーがいたりする。

青山吉能の魅力――明るさとネガティブさを併せ持つ声優

声優・青山吉能さんといえば、2014年のアニメ『Wake Up, Girls!』(以下、WUG)で同名キャラクターの七瀬佳乃を演じたことが大きな話題となりました。新人ながらアイドルグループのリーダー役を任され、はつらつとした歌やダンスでファンを魅了した彼女ですが、その裏側には「順風満帆な人生じゃなかった」と自ら語るように、悔しさや羨望といったネガティブな感情も多く抱えていたといいます。

WUG解散から次のステップへ

WUGは2019年に解散し、ファイナルライブで青山さんは「私をリーダーにしてくれて、ありがとう。明日からはWUGで得た経験と愛を持って、青山吉能の人生第2章の始まりです」と新たな決意を表明しました。実際、その翌年以降も積極的に声優活動を続け、2022年のアニメ『ぼっち・ざ・ろっく!』では主人公・後藤ひとり役に抜擢。内向的でおどおどした“ぼっちちゃん”を演じることは、これまでのアイドル役とは大きく異なる挑戦でしたが、青山さん自身は「全て共感できる」と語っています。

後藤ひとりがもたらした変化

明るく振る舞う一方で、心に抱えるさまざまな“陰”の要素。クラスメイトに合わせて本当は好きなアニソンを歌わず流行歌を歌った――そんな過去のエピソードを、自身が演じるぼっちちゃんと重ねていたそうです。青山さんは「もしこの役と出会わなければ、ずっと負の人生を続けていたかもしれない」とまで言及しており、ネガティブな感情をキャラクターに活かすことで逆に救われたと振り返ります。その結果、演技の幅が広がり、声優としての大きな飛躍につながりました。

「HIGAWARI PRINCESS」に込められたメッセージ

WUG時代のキャラクターソング「HIGAWARI PRINCESS」では、「日替わりでみんなが輝ける」「悔し涙も嬉し涙も全部が真珠になる」という前向きな歌詞が歌われます。リーダーとして輝いた時期もあれば、解散後に不安を抱えながら新たな一歩を踏み出した時期もあった――そんな青山さんだからこそ、この曲のメッセージを地で体現してきたと言えるでしょう。明るさと悔しさ、憧れと羨望。その二面性を受け入れた彼女が演技に注ぎ込んだからこそ、多くのファンが後藤ひとりの姿に共感し、作品自体も大きな話題になったのではないでしょうか。

おわりに

アイドルを経て、いまや内向的キャラもこなす青山吉能さん。キラキラした表舞台で笑顔を届けるだけでなく、自身の暗い部分や過去の後悔をも真正面から演技に取り込める強さを手にしています。誰もが抱える「人に言えない気持ち」を、役を通じて表現できること。それこそが青山さん最大の魅力でしょう。これからも彼女の“明るくてちょっとネガティブ”な二面性が、新たなキャラクターたちを輝かせていくはずです。