Joy to the world

とある中小企業のしがない技術者でクリスチャンな人が書く日記。実はメビウス症候群当事者だったり、統合失調症のパートナーがいたりする。

CHUWI大量導入の件

news.yahoo.co.jp

ちょっと前の記事だけど、徳島で大量導入したWindowsタブレットの故障が相次いだという記事だ。

www.pref.tokushima.lg.jp

どうも、導入しているのはUBook(CWI509)らしい。当時の価格で3万円ちょいみたい。

こういう中華の安いタブレットというのは、基本的に壊れたら交換、使っても3年くらいで交換することを想定して作られていると思うので、これを学校に大量導入というのはちょっと素人感を感じる。

某国産メーカーのタブレットとかは、価格の割にクソスペックだったりするが、その分頑丈だし修理もしやすい。何より、国産メーカーだと色々と日本特有の商慣習みたいなのが通じるし、後々良かったりする。

とりあえず何でも良いから安くで投入するなら良いけど、学校で使用するタブレット、しかも個人に配布するタブレットでCHUWIというのは流石に無理がある。

CHUWIがクソというよりは、メーカーの想定する用途と実際の使用用途が乖離しすぎている。こんなの時々外に持ち出して使うくらいのサブ機用途なのに、それを毎日子供がメインで使うとか、設計の想定に対して負荷が高すぎる。

自分で買おうとは思わないが、大量導入するなら、やはり富士通とかのクソデカ頑丈タブレットがいいと思う。

安いタブレットというのは、たいてい一枚板のメインボードに何でもかんでもSMTで実装して、組み立て工数を最小限にしてる。だから、コネクタ一つもげても修理できない可能性もある(多分パターンごともげることが多い)し、一旦動かなくなったときの障害の切り分けがほとんど無理。というか新しいの製造したほうが安いみたいなことがよく起こる。

これに対して高いタブレットというのは、I/Fだけ別基板に分岐させるとか、できるだけ機能ごとに小基板に分けるとか、製造コストが上がっても修理しやすくなるような設計をしている。だから高いけど、壊れにくいし修理しやすい。

どうも、電子機器の修理コストについて理解していない人が多いような気がする。普通のものづくりなら、製造コストが安いなら修理コストも安いと思われがち(つまり構造が簡単)だが、電子機器については必ずしもそうではない。

BGAやCSPがたくさん載った基板の製造コストが、別の基板と比べて異常に高いということはないけど、修理コストは普通の基板とは比じゃないくらいに高い。逆に、ディスクリート部品ばっかり使ってる基板の製造コストは高いけど、修理コストは比較的安い。

更にいうと、BGAやCSP、0603チップを実装できる工場が、それらをリペアできるとは限らない。BGAが実装できても、リワーク機とそれを扱う技能を持っていない工場なんてたくさんある。

最近の民生品に組み込まれている電子基板というのは、たいてい作りやすいけど直しにくい構造になっている。安い機器ってのはその傾向が強い。こういう業界の常識を知らないと、後々痛い目を見るのだろう。