時々ボソッとロシア語でデレる隣のアーリャさんとは
roshidere.com
Cf.公式サイト
見どころ
このご時世、ロシアって単語だけでなんか微妙な雰囲気になってしまいがちであるが、このアニメの見どころは、やはりツンデレアーリャさんがロシア語でデレる部分だと思う。
ただデレるだけじゃなくて、ロシア語でデレる部分がこの作品の特徴点だと思う。今までは小声でデレたのを主人公が「ん?なんか言ったか?」と難聴ムーブをかますと言うのが王道だったが、これをロシア語にするという発想は面白い。
もしこれを英語にした場合は、せっかく政近君は有能設定なのに、アーリャの英語は聞き取れないという謎設定が完成してしまっていた。かといって中国語や韓国語にしてしまうとアジアでのメディア展開の際に困ってしまうので、ロシア語という日本人に馴染みがあるような無いような微妙な部分を狙ったのかもしれない。
まあ、単純にヒロインをロシアン美少女にしたかっただけかもしれないが。
色々と書いたが、これらは舞台装置の工夫みたいなもので、最も重要なのは、やはりツンデレ好きのツボを押さえていることだと思う。個人的には、下記の「ツンデレがデレるとき」の要件を満たしている場合、たいてい良作だと思っている。もちろん、テンプレを踏襲すればよいというわけでもないが。
太古の昔から、ツンデレがデレると人気が出るわけだが、デレるタイミングや方法によって流行ったり流行らなかったりするくらい、その方法には色々とお作法みたいなものがある気がする。
普段ダメダメな主人公が覚醒したとき
これはまあお約束展開の王道みたいなもので、普段ダメダメな主人公が覚醒したときというのはどのツンデレキャラもデレる。
例えばアーリャさんなら、政近君が覚醒してアーリャさんを助けたときはとにかくデレる。フラグが立つのが見えるくらいにデレまくる。なんかギャルゲーのヒロイン感がある。
男勝りな女性キャラがちゃんと女性扱いしてもらったとき
これは結構古風なツンデレキャラに多いが、普段は男勝りな女性キャラが弱っているとき、ちゃんと女性扱いしてもらって、主人公にかっこよく助けられた後にデレる事が多い。
いわゆる「ほれてまうやろ」案件である。
アーリャさんは男勝りという程でもないが、気が強いせいでまわりとの軋轢が生じてしまった際に、政近君がしれっとフォローしてくれるシーンは比較的多い。マサーチカ策士か・・・。
お前は俺が守る!!
比較的ツン要素が多い序盤において、主人公がヒロインを守る的な宣言をすると、デレるというかヒロインルートに突っ走る確定演出みたいな物が発生する。
大抵の場合は、このシーンの後何事もなかったような振る舞いをする主人公に対して、ツン要素を強めるシーンが挿入される。
ロシデレの場合は、この要素をいろいろな部分にぶっこんでいて、アーリャじゃなくても政近君の好感度バク上がりみたいな演出が多い気がする。
その割には「オレツエー」みたいな不快感がないので、やはりひとえに政近君の人格のおかげだろう。
ロシデレは現代版ツンデレアニメ
今まで書いてきた内容で、ロシデレがツンデレアニメだということはだいたいわかってもらえたと思うが、やはり令和に放送するだけあって、現代版ツンデレアニメというのを模索しているように思う。
大昔、僕が釘宮理恵を追いかけてた時代とか、フルメタル・パニックを読み込んでた頃のツンデレキャラというのは、たいてい暴力系ヒロイン=ツンデレキャラだったように思う。
とらドラ!の大河とかゼロの使い魔のルイズとか、フルメタル・パニックのかなめもそうだったか。
ちょうど、時代的にも強い女性みたいなものが持て囃されていた時代だったように思うし、時代が生んだ潮流なのだろう。
これに反して、最近のツンデレキャラというのは、弱さを全面に出したキャラが多いように思う。気は強いけどメンタルやフィジカルが弱くて、主人公に守ってもらってデレるみたいな。
思うに、創作の分野の女性像・男性像というのは、実際の社会のそれと反対側にあるのではと考えている。2000年代前半は確かに、女性の社会的地位が向上しつつあったものの、今ほどジェンダーレスの推進が進んではいなかった。
これとは反対に、今はジェンダーレスの考えが広がり、男らしく・女らしくといった価値観が薄れつつある。実際の社会がこうなると、やはり逆の価値観を重んじる人というのも一定数出てくるので、今は「女らしい」ヒロインが人気なのかもしれない。
このような潮流を考慮すると、ロシデレというコンテンツは古き良きツンデレキャラを重視しつつも、現代の潮流に合わせて色々とアレンジした「現代版ツンデレアニメ」なのかもしれない。
おまけ
これを書いてて思い出したのが、最近ペルソナ3のリメイク版をやっているのだが、その中で「山岸風花」というキャラが居る。
この子はいわゆる「能登かわいいよ能登」時代の能登麻美子さんが演じていたキャラであり、最近の能登さんではなかなか聞けない演技が非常に良いと思っている。今どき、能登麻美子さんで病弱のおとなしいキャラというのはなかなかない。
これに対して、機動戦士ガンダム 水星の魔女で出てきた「プロスペラ・マーキュリー」も能登麻美子さんが演じているのだが、こちらは放送当時「能登こわいよ能登」とついつい言ってしまうほどの迫力があるキャラクターだった。
ペルソナ3の発売が2006年なので、ちょうど今回話したツンデレキャラの変化と時代的にかぶる物があり、最後にこの話をしてみた。
しばしば、流行というのは繰り返すと言われがちだが、こう考えてみるとたしかにその通りかもしれない。